歯の散歩道

親知らずが痛む・・・

ちまたで割と聞くセリフですが、
親知らずが痛む原因として、
　むし歯がかなり進行して神経まで達してしまった
　親知らずの周りが歯周病になってしまった
の二つが大部分を占めます

そしてどちらかというと歯周病になることが多いようです

なぜ親知らずのトラブルがあるのかというと、
「歯みがきしにくい」
ということがあるからだと思います

親知らずの正式名称は第三大臼歯
 
真ん中から数えて八番目
歯の列の中で一番奥の歯です
親知らず以外の永久歯は大体中学生ぐらいまでに生えてしまいますが、
親知らずは10代後半から20代、30代にはえてきたり、
生える場所がなくて半分潜ったままになっていたりします



 

この方は親知らず4本ともきれいにはえそろっています
こういう人は珍しいです



 
この方は下顎の親知らずが斜めにはえてしまってます
食べ物がよく詰まるとのこと


 
この方は左上の親知らずはもぐったまま
左下の親知らずは一部分顔を出してますが、
手前の歯に引っかかってそれ以上はえません
右下の親知らずはま横を向いてほとんどもぐってます



 
この方はまっすぐはえているのですが、
後ろ側がもぐったままです


生え方にバリエーションがあるのは、
顎の大きさと歯の幅の関係で、
顎が小さくて歯のはえるスペース不足が原因です


これがトラブルの原因になるのです

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親知らず
よく問題を起こすことがあります
ほとんどの原因はプラークによる歯周病かむし歯

一番奥にある歯だし、
横向いている場合もあるので、
とにかく歯みがきし難い、
という人が多いのです

 
右はじの歯が親知らずです
斜めにとなりの歯に寄りかかっていますが、
大きなむし歯になっています

やはりプラークが落とせないのが原因でしょう
痛みが出るほどの大きなむし歯になっていますので、
協議の結果抜歯となったわけですが、
問題はとなりの歯です

親知らずとくっついている所がむし歯になってしまいました
小さくないむし歯です




 
このケースは親知らずはむし歯にならなかったけど、
となりの歯がむし歯になってしまいました
お口の中はほとんどむし歯なし、歯周病なしで、
かなり健康的な状態なのですが、
唯一この場所だけがむし歯になってしまいました

 
結局、
親知らずは抜歯しました
となりの歯は神経をとりました(抜髄といいます）
レントゲンで歯の中の白い部分は人工物
となりのむし歯のない歯と比べるとだいぶ歯がなくなっています

・・・

 
別のケースですが、一番左の歯は親知らず
歯ぐきの中に深く潜っています
となりの歯の歯根をぐいぐいと押すような感じに見えます
となりの歯と親知らずの間の骨は大きくなくなっていました
親知らずの周りが歯周病になり、
その結果となりの歯の周りの骨がなくなってしまったのです
親知らずのとなりの歯は抜歯になってしまいました




このように親知らずはとなりの歯に悪影響を及ぼすことがあります
うまくプラークコントロールができない親知らずは、
痛くないからうまく歯みがきできないままでいいや、とか、
痛くなったら抜けばいいや　　　　　　　　　　　　　　　とか思っていると、
知らないうちにとなりの歯がとんでもないことになる場合があるのです

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 親知らずが痛む...
痛みの原因は親知らずがむし歯になるか、
親知らずの周囲の歯周病が考えられますが、
多くの場合は歯周病で痛むようです



親知らずの別名を智歯といいますが、
親知らずのあたりの歯周病を智歯周囲炎と言います

だいたい痛みがでた場合、
すぐにその部位をいじるとよけい炎症が強くなるので、
まずは抗生剤と消炎鎮痛剤で症状を和らげます

その後どうするかを検討します
智歯周囲炎はだいたい親知らずがうまく生えなくて、
そのためうまく歯磨きができなくて、
歯の周りが感染してしまうため生じます
周囲の感染源となるバクテリアがいなくなれば炎症は収まりますが、
ほとんどの場合、抜歯（歯を抜く）をしなければ感染源は根絶できません

つまり、親知らずを抜くか、抜かずに感染源を残し我慢し続けるか、
このどちらかを選択するわけです

抜かずに我慢していても、歯周病と同じで感染部位は徐々に広がる可能性があります
十年、二十年とまだまだ人生長い方、
ずっとそれを我慢する方は少ないようです
高齢の方は親知らずが無い方が多いですが、
たいてい高齢になる前に抜歯をしているようです

若くて抵抗力があるうちに抜歯しておいた方が楽ですしね

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 痛みに悩まされている親知らずを抜こうと決心した方へ

抜く時痛むのだろうか？
抜いた後も痛むのだろうか？
腫れるのかしら？

などなど、心配はあることと思います

多くの場合上顎の親知らずは抜いた後それほどトラブルはありません
下顎の親知らずがいろいろと大変なようです
しかし、親知らずの生え方は様々なので、
比較的楽な抜歯もあれば、抜いた後腫れたり痛んだりする場合もあります
また、体の抵抗力、回復力も人様々
食事なども普段あまりとっていない人、生活リズムが不規則な人などは、
簡単な抜歯でも治りが悪く痛がっている人をよくみます

従って親知らずを抜いた後どれくらい痛むか、腫れるかは人それぞれなんですが、
それでもX線上で大まかな判断はできますので、
写真で下顎の親知らずの抜歯難易度を説明します



ケース１　難易度　☆


一番端の歯が親知らずです
この場合上下の親知らずがしっかり咬みあっているようです
あまり抜歯をする必要の無い親知らずです
何らかの理由で抜歯をする場合、
歯冠の大部分も歯ぐきの上に顔を出しているので、
あまり大変な抜歯ではありません

予定時間（血圧測定、麻酔、抜歯、縫合など）　３０分以内
術後に鎮痛薬
だいたい鎮痛薬は１回飲むぐらい（飲まずにすむ人も結構います）
翌日洗浄、一週間後抜糸


ケース２　難易度　☆☆


ケース１と同じように見えますが、歯の後ろ側が歯ぐきに潜っています
切開しなくても抜歯できる場合もありますが、
無理に抜くと骨を圧迫しすぎますので、
歯を分割（むし歯を削る器具などを使用）した方が楽に抜けるでしょう

予定時間（血圧測定、麻酔、分割、抜歯縫合など）　約３０分
術前から抗生剤服用　術後に鎮痛薬
痛みは鎮痛薬で抑えられる程度
翌日洗浄、一週間後抜糸


ケース３　難易度　☆


親知らずが半分傾いている状態
歯の後ろの部分が顔を出して、手前側が歯ぐきに潜っています
しかし、歯冠部分が骨の外に出ていますので、
それほど大変ではありません
ケース２より楽に抜けます

予定時間（血圧測定、麻酔、分割、抜歯、縫合など）　３０分以内
術後に鎮痛薬
痛みは鎮痛剤で抑えられる程度
翌日洗浄、一週間後抜糸


ケース４（向かって左側の親知らず）　ケース５（右側の親知らず）


ケース４　　難易度　☆☆
やや傾斜した親知らずが骨の中に入ったケース
歯ぐきを切開して、歯冠を分割して抜歯

予定時間（血圧測定、麻酔、切開、分割、抜歯、縫合など）　３０分
術前に抗生剤、術後に鎮痛薬
術後の痛みは鎮痛剤で抑えられるぐらい
翌日洗浄、一週間後抜糸
　

ケース５　難易度　☆☆☆☆

水平になった親知らずしかも骨の中にほとんど埋まっているので結構大変です
下顎の骨の中には下歯槽管といって中に大きな神経や血管がある管がありますが、
この親知らずはその管に近いので慎重に抜歯を行う必要があります
（CT撮影をして３次元的に下歯槽管の位置を把握していると安全です）
切開をして骨を部分的にとり、歯を分割して抜歯します　

予定時間（血圧測定、麻酔、切開、骨除去、分割、抜歯、縫合など）　１時間　
術前に抗生剤、術後に鎮痛薬　
術後に腫れることがあります　（その場合はだいたい３日間）
それから顎の下に内出血のあとがでることもあります
炎症が強いと口を開けづらくなったり、
風邪の時経験する扁桃腺が腫れたときのような痛みがでることもあります
翌日洗浄、一週間後抜糸


ケース６　難易度　☆☆☆　


ケース５よりも浅い位置に埋まっているのでその分負担が少ないです
（そして右より左の方が抜きやすい）　
下歯槽管からも離れているので比較的安全に抜歯できます　
切開して少し骨をとって、歯を分割して抜歯します　

予定時間（血圧測定、麻酔、切開、骨除去、分割、抜歯、縫合など）　１時間以内　
術前に抗生剤、術後に鎮痛薬　
術後に腫れることがあります（約３日間）
炎症が強いと口が開けづらくなったり、
風邪の時経験する扁桃腺が腫れたような痛みがでることがあります
翌日洗浄、一週間後抜歯　　


ケース７：左側　難易度　☆☆☆☆　　　（右側はケース５に相当）



下歯槽管に近いので慎重に処置を行う必要があります　
CT撮影をした方が安全です　
ケース５よりも周囲の骨が長期にわたる炎症のため吸収されていてかえって抜歯しやすいかもしれません　
切開して骨をとって歯を分割して抜歯します　

予定時間（血圧測定、麻酔、切開、骨除去、分割、抜歯、縫合など）　　１時間　
術前に抗生剤、術後に鎮痛薬　
術後に腫れることがあります（約３日間）　
内出血がでることもあります　　
炎症が強いと口が開けづらくなったり、
風邪の時経験する扁桃腺が腫れたような痛みを経験することがあります
翌日洗浄、一週間後抜糸


ケース８　難易度　☆☆☆


親知らずは傾いていませんが結構手間がかかるケース　
感染していることが少ないので症状がでないことが多いです　
抜歯をする場合には結構骨を削ることがあります　
切開して骨をとって歯を分割して抜歯します

予定時間（血圧測定、麻酔、切開、骨除去、分割、抜歯、縫合など）　　１時間
術前に抗生剤、術後に鎮痛薬　
術後に腫れることがあります（約３日間）　
内出血がでることもあります
炎症が強いと口が開けづらくなったり、
風邪の時経験する扁桃腺が腫れたような痛みを感じることがあります　
翌日洗浄、一週間後抜糸　


また親知らずの歯根が広がっている場合は難易度が☆一個アップします　



以上はあくまでも私見であり当院での目安です
口が小さい人や大きく開けられない人は手術時間もかかるし切開の量も増えます
また、体調などでも術後の痛みや腫れ具合は変わってきますので、
大まかな目安と思ってください

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奥歯に大きなむし歯があるケースです


写真向かって右側の奥歯には大きなむし歯があります
強くしみて時々ズキッと痛みもあります
穴の開いている中の処置をして様子を見ましたが、
痛みはとれません
神経までむし歯が進行していると考えられますので、
神経を取らないと痛みが引かないでしょう
また、口を大きく開けられないので奥歯の治療は大変困難でした

さて今回はそこの奥歯の根元の方に親知らずがあることが分かります
相談の結果、この親知らずをうまく利用して治療をすることにしました

むし歯の歯は抜歯します
（抜かなくても治せますが、今回は抜歯）
親知らずが抜いた奥歯の位置に生えてくるのを待つ




問題の歯を抜歯しました
そしてしばらく待ちました



２年後の写真です
親知らずが抜いた歯の部分にきれいに収まりました
下の歯ともしっかりかみ合っています

この方は10代で骨も柔らかく、歯も噛み合わせも柔軟性があります
親知らずも深くにもぐっていたのも幸いしています
親知らずがある全てのケースのこのようなことができるわけではありませんが、
むし歯で大きく崩壊したこと、神経の治療やクラウンをかぶせるために削ることを考えると、
親知らずを利用したこの処置の方が長期にわたってトラブルなく過ごせることと思います

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