むし歯の疑いのある患者さんがいらっしゃいましたら、
治療をするかどうか、どのような治療をするのかなどを決定しなければなりません
この行為を意思決定(dicision-making)と言います
今まで説明してきた用語を使ってこの過程を説明してみましょう
以前にも述べましたようにむし歯と健康な歯の境界線ははっきりとしません (参
健康な歯とむし歯の境界線)
むし歯が有るか無いかということを調べるのではなく、
進行するむし歯なのか、進行しないむし歯なのかということを調べます
検査方法は主に、視診、触診などの臨床検査ですが、
X線検査を必要に応じて使用します (参
むし歯の診断 基本は視診)
ところが、これらの検査には完璧な方法はありません
必ず偽陽性や偽陰性が生じます (参
偽陽性と偽陰性)
そのことを踏まえて検査値の基準を決定しなければなりません
一般的に偽陰性が致命的な結果になる場合、
たとえば見逃すと命にかかわるような重症な病気の場合や、
急速に進行する病気の場合など、
偽陰性が少なくなるにカットオフポイントを選びます (参
カットオフポイント)
普通の大人の場合、むし歯の進行は遅いです
初期のエナメル質のむし歯では、
X線写真上で1㎜深く進むのにだいたい1年から4年ぐらいかかるようです
偽陽性の歯は削られてしまいますが、
これはなるべく避けたいので、
偽陽性が少なくなるようなカットオフポイントを選びます
偽陽性と偽陰性はトレードオフの関係にあるので、 (参
トレードオフ)
偽陽性と判定される歯が少なくなれば、
かわりに偽陰性と判定される歯が増えてしまいます
すると治療しないために進行するむし歯というのが増えてきます
これは困るのではないかと心配する方もいますが、
上に書いたように普通のむし歯は進行が遅いのです
定期的な健診を受けている方は前回の検査と比較すれば、
むし歯が大きくなっている場合でもあまり大事にならずに済みます
この事からも定期検診は重要になってきます
しかし定期検診を受けない方は偽陰性を放置するのは危険ですので、
定期検診を受けている人よりも偽陰性が少なくなるようなカットオフポイントを選ばなくてはなりません
このように同じむし歯の状態でも診療を受ける姿勢によって、診断基準が変わってくる場合もあります
なるべく歯を削らずに済ませるには定期的なチェックと、
このような診断が必要であるといえます思えます
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