美味しい料理を作るときに知っておいた方がいい化学反応
そのひとつにメイラード反応があります
これは糖がタンパク質やアミノ酸に結合し、
茶色に変色する反応です
焼いた肉やトースト、焙煎したコーヒーなどに起こっている反応で、
香ばしい香りの茶色がイメージできると思います
温度を上げることで反応が起こりやすくなりますが、
常温でも反応が起こります
醤油や味噌などもメイラード反応によってあの香りと色になるようです
ご飯のおこげやホットケーキ…
例を挙げるときりがありませんが、
うまく使うことで料理の風味がぐっとあがるのです
ところでこのメイラード反応は体の中でも起こります
これは糖質摂取により血糖値が高くなったときに起こります
そして体の中での反応はちょっと体によろしくない
体の中での化学反応は酵素を必要とする場合が多いですが、
メイラード反応は料理の時と同じように酵素を介さないで行われます
この反応過程を専門用語を使って説明しますと…
糖がアミノ基に結合しシッフ塩基を形成し、
シッフ塩基はアマドリ転位によってケトアミンを作る
引き続いておこる反応が終末糖化産物(advanced glycation end-products: AGEs)をつくる
化学の授業で聞いたことの有るような無いような言葉が続きましたが、
AGEsが作り出されることによって色々な弊害がでてきます
たとえば、体の中の主要なタンパク質であるコラーゲンは、
皮膚や血管、骨、歯ぐきその他いろいろな臓器などの構成成分ですが、
タンパク質と糖の結合(糖化)が進むとコラーゲン同士が凝集してしまい、
皮膚では大きなシワができるなど老化の原因になっています
血管では血管壁に血漿タンパク質などが沈着していきいろいろな病気を引き起こします
また、マクロファージや血管壁の細胞はAGEsが結合するレセプター(RAGE)を持っていて、
AGEとRAGEが結合することによって細胞がストレスを受け、
炎症性の物質を作り出していきます
このように高血糖は老化や病気の原因になりますが、
歯ぐきでも、歯垢の影響で炎症があるところに糖化による炎症過程が加わると、
歯周病がさらに進行していくことになります
高血糖と歯垢による歯周組織の破壊のプロセスは図にすると以下のように表せます

高血糖→AGEs→RAGE→細胞がストレスを受ける→炎症ー酸化ストレス→歯周組織破壊
この反応の他にもAGEsが直接細胞を攻撃することや、
高血糖そのものが酸化ストレスを与えていること、
そしてこの炎症がさらにAGEsを作り出すといった増強経路もあります
また、この図に書いていない反応もいろいろあります
(例えば炎症と酸化ストレスはお互いを増強させ、
歯垢の中の細菌組成がより炎症を起こしやすい方へシフトする)
複雑な経路ですが、
まとめますと、
「高血糖は炎症がおきやすい体質をつくりだし、歯周病も悪化させやすい」
となります
血糖値の上がりやすさは個人差がありますし、
食べ物(糖質)によって違います
歯周病の方はこのあたりのことを個人的に把握しておいた方がいいでしょう
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